「見て、茗。この服、可愛い」
「俺としては、色はこっちが良いけどな」
「そっか、茗、シンプルなのが好きだもんね」
古着屋に寄った私達は、恭平と理玖の買い物に付き合いながらあちこち見て回った。
「恭平と理玖は何か買うの?」
「俺は良いのがあればだけど、理玖は買わないってさ。美菜ちゃん、こっち」
「ん?」
服選びをやめ、顔を向けると、恭平が、手にしていた帽子を私の頭にかぶせた。
「似合ってる。そのニット帽」
「本当?鏡で見て来ようかな」
辺りの鏡を探していると、かぶせられたニットが、サッと取られてしまった。
「茗。何するのよー」
「お前、ニットなんかかぶらないだろ?」