「決まった人だけの場所って事は、誰か好きな人がいるんだよね?どうしてその人と付き合わないの?見た目だって良いし、そんな女の人と遊ぶ必要なくない?」


「付き合わないんじゃなくて、付き合えなくなったんだよ――」


答えたのは理玖だった。


「何だよ、お前、やっぱり知ってたわけ?」

「まあ、大体の事はな。かなり前、兄貴に付き合ってた女はいたよ」

「その人が本命なの?」


頷くこともなくポツリポツリと話をつづける理玖の言葉に耳を貸す。


「相手は年上で、上手くやってたみたいなんだけど、ある時、ちょっとした事で、仲がこじれたみたいなんだわ。兄貴の周りには大抵女がいるからな」


「まさか、先輩がそれで彼女奪われたとか?……っても、あの先輩が、そう簡単に自分の彼女奪われたりしねえか」



何となく納得してしまう。俊先輩の彼女に手を出したりしたら、後が怖そうだもん。