「良いよ、暇だし」
嘘でしょ、何考えてんのよ!!
「んじゃ、決定。外、行こうぜ!!」
「けど、プールとかはなしな。お前、水着持って来てねえだろ?」
髪をかきあげる茗を見て、自分が今、ウィッグである事を思いだした。
「そう、水着はお爺ちゃんち!私、普通に街ブラしたいなあ、なんてっ。ほら、こっちの事とか、あんまり知らないし!」
「観光って感じか」
「あっ、そうだね、うん。お願い。いつも、茗に頼んでるんだけど、なかなか行ってくれないし……」
苦笑いした私に、「任せろよ」と、言ってニッコリ笑った。
そしてまた、恭平の後ろで首を横に振る理玖の表情を見ると、……、多分まあ、仕方なく、連れて来られたのだろうと思った。