「いや、理玖って、本当に頭良かったんだなーっ、て…」
「そうか?」
古典以外5の数字が並んだ通知表をさっさとしまってしまった理玖は、私の通知表を覗き見た後、ポンッと頭を叩いた。
慰めとも取れる優しさが、嬉しいやら悲しいやら――。
肩を落とし、帰り支度をしようとした折り、恭平が私の肩に手を回した。
「なあ、茗。お前んち、夏休みってどうするの?」
「さあ、特に予定はねえけど?」
「美夜は?」
「茗んちに帰るだけで、後はまだ考えてないよ」
「あっそ」
ニヤニヤと笑った恭平を見た理玖が、小さな溜め息を吐いた様な気がしたのは、気のせいだったのだろうか……。