「おい、モタモタしてねぇで、帰ろうぜ。俺、腹へったわ。帰りにコロッケ買おうっと」

「恭平ってば、また?この間も食ってなかった?」

「一週間前だろ。ってか、せっかくおごってやろうと思ったのに、美夜は食わないんだ。ふーん」

「……食う」

「えっ?何々?聞こえなかった」

「食うって言ってんだろ。もう、聞こえてるくせに」



声を上げて笑った恭平は、私の髪をクシャッと撫で、さも急げ、と、言わんばかりに腕を組んで教室を出た。



校門を出て少し行くと、店の看板が閉まっている事に気づいた。



「何だよ。店、休みかよ」

「ついてなかったな、恭平。また、明日にでも来ようぜ」

「だな。……おっと、雨か?」