「最初、入学した時、言われてたの忘れてたんだ。困った時は、桜御先生に相談しろって言われてたこと」

「おいー、そんな大事な事忘れんなよ」

「けど、どっちにしたって事が事だけに相談はしにくかったんだよ」

「そりゃあ、まあ、そうだろうけど。取り合えず、良かったじゃねえか。これからは、何かあればアイツに相談出来るって事で」

「まあね」

「んじゃ、俺、教室戻るわ」

「茗、今日のノート、コピーお願いね」

「はいはいっ。お前も大人しく寝てんだぞ。…と、食堂のおばさんがお粥がどうたらって言ってたな」


!!!

忘れてた!お粥、頼んでたんだ。


「行ってくるわ」、と、言う声と共に、パタンと、ドアが閉まり、不意に、ベッドの隅に置かれたもう一つのチョコクリームパンを見つけた。


これ、校内には売ってない私の好きなやつだ。

茗ってば、わざわざ外まで買いに?思わず吹き出しそうになった。本当、変な所で優しいんだから。


部屋の中には、茗が食べた後のチョコクリームパンの匂いがしていた。