「だからそれはムリだって」
「じゃあ、俺がこのまま不良の道に突っ走って、父さんや母さんがもっともっと悲しんでも、美夜は何とも思わないんだ」
「そ、それは……」
「母さんなんか俺のあの姿見ただけで、ぶっ倒れちゃったくらいだよ。父さんだってあの調子」
「……」
「頷いてくれないんだ?」
頷くも頷かないも、根本的にムリだって言ってるだけなのに。
あー、でも、もう、どうにでもなっちゃえええ!!!
「バレたりしても知らないからね!」
「決まりっ」
その瞬間スルッと赤いウィッグを取った茗は、ソファに寝込んだ叔母さんの元に駆けて行った。
だ、だまされた。全部演技だったのね。
「茗ぃーっ!」
私の大声に、べーと舌を出した茗は、ヨロシクと、言わんばかりにニコリと笑った。