「草食男子の定義って何なん?」
一度聞いてみたかったんだ。
原さんにも言われたことがあったから気になっていたんだ。
「恋愛にガツガツしていなくて、傷ついたり傷つけたりするのが苦手な男子ってとこかな?」
雄哉はは恋愛マスターかのように言うと、ビールを飲んだ。
「雄哉とは真逆ってことよ」
瞬は、笑いながら指摘する。
「そういう瞬はどっちなんや?どっちかというと草食じゃね?」
瞬だって、昔から恋愛にガツガツするタイプじゃないはず。
「瞬は・・・ロールキャベツ男子」
「ロールキャベツって!」
僕と瞬の声が合った。
「ロールキャベツって、草食っぽいけど、開けたら肉食ってか?」
瞬が呆れながら雄哉に聞いた。
「オーナーお待たせしました」
その時、さっきの店員の女の子が料理を運んできた。
「おう、サンキュー」
雄哉は「ここに置いて」と指示すると、3皿の料理を置いて彼女は頭を下げて立ち去った。
「これ食べて」
「珍しいな、奢ってくれるのか?」
瞬が疑いの目で雄哉を見ながら言うと、
「ハハッ」と笑った。
これは絶対何かある、僕も瞬もそう思ったはずだ。
「いやぁ、新作メニューを考えててな・・・」
「なんやねん、毒見かよ」
呆れ顔で瞬が言うと、「毒見とは失礼な。試食って言え」と雄哉は主張した。
そんなやり取りで忘れていたが、話題を元に戻した。
「見た目は肉食っぽいけど、中身は草食ってのもあるらしいぞ」
「どこの情報や」
僕が突っ込むと、雄哉は箸を置き、前のめりになり話し始めた。
「お前らと違って、店のオーナーは、世間の情報に敏感にならなあかんのや」
と、経営論でも話すかのように語った。
「経営に必要だとは思えないんだけど」
「くだらないことを大げさに言ってるだけやろ」
僕と瞬に突っ込まれると、「だから、お前らはわかってないねん」と料理に目の前の海老と明太子の湯葉巻きという料理にかぶりついた。
これがまた美味かった。
「瞬は、これまでは草食やったけど、睦美ちゃんに関しては肉食やろ」
雄哉は物知り顔で瞬に詰め寄った。
「うっさいなぁ」
睦美ちゃんとは、瞬の彼女で、瞬が週1回診察に行っている病院の看護師だ。
雄哉曰く、瞬は睦美ちゃんにデレデレらしい。
それがまた僕には信じられない。