「朝、登校中に誠也君と話していたよね?」



体育館の裏に連れて行かれ、壁を背に立たされると、その中の1人が少し強い口調で話し始めた。



「…。」



涼子は俯いたまま、じっとしている。



「何話していたの?」



別の女子生徒が問いかけてくる。



「何、って…。」



「まさか、誠也君と仲良くなろうと思ったとか?」



「そ、そんな事は…。」



「で、見事に相手にされなくて泣きながら走って行ったんでしょ?」



「…。」



その時、話していなかった最後の1人がいきなり涼子の胸ぐらを掴んで顔を上げさせた。



「や、止めて…、下さい。」



「あんた、自分の事分かってるの?」



「自分の事、って…。」



「あんたみたいな、地味で不細工な女がカッコいい誠也君に相手して貰える訳ないでしょ!」



他の2人がクスクスと笑っている。