(…!)



突然、後から肩を叩かれた。



(え、私?)



叩かれた拍子に体が一瞬固まり、思わず顔を上げて後ろを振り向く。


少し見上げると、誠也が笑顔で見つめていた。



「おはよう。」



再度、誠也が声を掛けてくる。



「あ、あの…。」



思わず俯く。



「一緒に登校しようよ。」



そう言って誠也は隣に並ぶ。


涼子はその場に立ち止ったまま俯いている。



「大池さん、どうしたの?」



誠也の声と共に、涼子の耳には周りの声も一緒に聞こえてくる。