5年ぶりなこの街に帰ってきた。昔と少しも変わってないなぁ。その景色が懐かしくて口元に笑みが浮かぶ。学校はどこかな?転校先の学校の場所が分からなくてあたりをキョロキョロ見渡していると、「あっ、フウカちゃん!」何処からか私を呼ぶ声がする。間違えない、この声は…「ユキ!」わたしは彼女を目指して早足で歩きだした。やっぱりユキだ。「久しぶり。元気だった?」ユキは私に聞きながらこちらに走って来る。危ないなぁ。そう思いながらも私も走り出した。「久しぶり。元気だよ。」ユキの質問に答える。「フウカちゃん…。」ユキは少し息が上がっている。私も肩でハァハァ息を切らしながら「何?」と聞き返す。「変わったね。昔と。」あぁ、やっぱりか。そう思いながらも「そうかな?」あえて知らんぷり。「うん。やっぱり変わってるよ。だってフウカちゃん、昔はもっと笑ってたからさ。髪も伸びたね。」
まぁ、言われてみればそうかも。図星。さすがユキ。痛いところをついてくる。「そうかな。髪の毛は切ってないからね。そりゃ、伸びるでしょ。」
ねぇ、ユキ。私、ユキのそうゆう所がだいっきらい。鈍感そうに見えて心の中まで見透かすような凛とした淡い茶色の澄んだ目。前は好きだったよ。前は。
「やっぱり、まだあのこと気にしてる?」おずおずとユキが聞いてくる。どうして、ユキは……。私が黙っていると、慌てたように「あっ、嫌ならいいんだよ?無理に………その……」ユキは気まずいようにもごもごとしてる。しょうがない。私だって思い出したくない。「………そろそろ行こっか?」私の機嫌を伺うように聞いてくる。