暑さのせいで動くことの出来ない僕は
焦点を何かに合わせることなく
ぼーっとしていた。




リビングでかかっている音楽が
真夏の海を歌っている曲で
よけいに暑くなっていた。

テレビを付けても
都心のヒートアイランド現象だとか何やらを
特集したワイドショーばかりで暑さが増す。



僕は仕方なく
音楽、テレビの両方を消し、
喉に悪いのを知りながら
扇風機に向かってあーっと声を出した。

声は扇風機の風でふるえた。