それからまた数ヶ月後……可憐は、仕事が恋しくなっていた。

いろんな人と話す接客業が、好きになったのだ。


可憐は、近くのファーストフード店で、数時間だけ働くことになった。


「高校二年生か…」

面接をしたマネージャーが、可憐を見て、頷いた。

歳を偽るのは、お手の物である。

「はい!」

と満面の笑顔を浮かべた可憐に、マネージャーは何度も頷いた。

そして、可憐の後ろを見て、声をかけた。

「店長…採用でよろしいですか?」

「うう〜ん…そうだね」

誰かが、可憐の後ろに立っていた。

マネージャーから渡された履歴書を見て、

「まあ〜採用でいいだろ。ここは、お酒を飲まないからな」



「え?」

可憐はその声に、聞き覚えがあった。

はっとして、顔を上げると………そこには、エイリがいた。

「酔っぱらいでなければ…採用だ」

エイリは、ウィンクした。



(あちゃあ〜ばれた…)

可憐は、心の中で舌を出した。

(でも…まあいいかあ)

多分…エイリも偽ってるはずだから……。

「今日から働けるんだね?」

エイリの言葉に、

「はい!」

可憐は、満面の笑顔で頷いた。





可憐な日々……完。