「…で、ご両親は」

警察に聞かれた可憐は、素直に今までのことを話した。

母が死に、食べる為に、この仕事をしていたことを。

もう身寄りがないことを。


「でもね。誰か保護者がいないと…」

取調室で、事情を聞いていた警察官は頭を抱えた。

ホステス達も、警察署に連行されていた。


可憐は下を向き…これから、自分がどうなるのか…わからなかった。


その時、

「あたしが、この子の母親です」

誰かが可憐のそばに立ち、可憐を庇った。


「え?」

可憐は、その声に驚き…顔を上げた。

そこには、化粧を落とし…質素な服装をした優希がいた。

優希は、涙を流しながら、警察に頭を下げた後、

しゃがみ込み、可憐を抱き締めた。

「ごめんね…ごめんね…こんな辛い思いをさせて…」


優希に抱き締められ…その優しさに、可憐は付き物がとれたように、泣きじゃくった。


何か…すべての重いものが、取れていくような気がした。