「え?」

その言葉の意味が、可憐にはわからなかった。


サキは化粧直しを終え、立ち上がると、ゆっくりと振り返り、可憐を見た。

緊張している可憐を見て、サキは軽く微笑んだ。


「ここは、華憐と違って…上品ではないわ。裸になったり、胸を触らしたり…指名を取る為に、必死になってる」

サキは、胸元が避けた…赤いドレスを身に纏いながら、可憐に近づいてくる。

「皆…必死なのよ。勿論、あたしもね」

ぴったと可憐の前で止まり、可憐を見下ろしながら、

「あたしは…あなたのように、若くもない。だけど…体を使って、指名を取りたくない。話だけで、のぼり詰めたいの」

サキはじっと、可憐を見つめ、

「どうして…あなたにそんなことをいうのかしらね」
サキは、気付いた。

「…あなたは…よく似てるわ。あの女に…どこか雰囲気が…。あたしが憧れ…あたしが手本とし……そして、こえたかった…あの女に」

「え?」

可憐は顔を上げた。

サキは、笑い掛け、

「華憐の象徴といわれる…あの女に…。そういえば…あなたの源氏名も、可憐ね」

そう言うと、サキは可憐の前から離れた。


「あたしは…ここで、あたしのやり方で、No.1になるわ」

そして、可憐の横を通り過ぎていく。