いきなりの出会い…抑えきれなかった怒り……そして……。



「本当のお母さんじゃない……」

可憐は、とぼとぼと歩きだした。

「誘拐された…」

松崎の言葉に、可憐はパニックになっていた。

あのまま…あそこにいなら、狂いそうだった。


少し落ち着いたが、まだ考えはまとまらない。



可憐はただ…歩いた。

華憐に行くつもりだったけど…もう行けない。


もう顔を見られたのだ。

(どうしょう…)

生きていく為には、仕事は必要だ。

新しい仕事を探すにも…そんな気分にもならなかった。


唐突に、携帯が鳴った。



「可憐!来ないのか!」

酔っ払った理沙からだった。


可憐は、少し回らない頭で考えて、

「いくよ」

返事をした。


どうせ…華憐にも行けないし…今は家にも戻れない。


可憐は、T.L.Cに行くことにした。

店は、華憐の近くだ。

大体の場所はわかっていた。


それに、お酒を飲んで…騒ぎたかった。