「T.L.C.…。華憐を辞めた…!?」

突然の報告に、可憐は呆然とした。

「で、でも…」

可憐は、華憐以外で働くことを考えてなかった。


(あたしが…華憐で働くのは……復讐の為)

と思い出して…可憐ははっとした。

最近、そんなことを考えてなかった。

毎日、毎日が忙しくて、そんな復讐をする暇もなかった。

ただお酒を飲んだらいいと思っていた…水商売。

だけど、そこに来るお客は、いろいろいるが…ただ騒ぎたいよりも、寂しい人達が、多かった。

みんな…架空の恋愛に真剣になり、真剣に悩み、真剣に思いをぶつけてきた。

仕事だと思いながらも、可憐は真剣に話をきいた。

可憐に真剣になる相手は、いなかったが…相談相手みたいになっていた。

可憐よりも、もの凄く年上の男の話をきくのは、勉強にもなった。

それを、裏であしらうホステス達の汚さ。

だけど…真剣に悩むホステスもいて、

出会いが出会いだから…お互いに信じられなくて、悩む子もいた。

そんな架空の世界で……可憐はさらに、架空だった。

(あたしは…)

着替えが終わった時、


家のチャイムが鳴った。

「え?」

チャイムが鳴るなんて…しばらくなかった。

可憐は慌てて、家のドアを開けた。