(未成年だし…)

どう見ても、学生だった。

(高校生かな)

可憐は、向こう側の道を歩いていく男を、

行き交う車の隙間から、しばらく見送った。


「はあ〜」

ため息をつくと、可憐はその場で肩を落とした。

「疲れる」

顔を落とし、地面を見つめた。

しばらくして、

可憐ははっとして、顔を上げた。

「ま、ま、まさか!」

可憐は、やっと大変な事態に気づいた。

「ばれたんじゃないの!」

男の言葉を思い出し、パニックになる。

「学生だと…ばれたよお〜」
頭を抱える可憐は、頭に当たったものを思い出した。

携帯だ。

「もう電話してる場合じゃ…ないよお」

携帯を、鞄にしまおうとして、

ふっと見た画面が、

通話中を表示していた。


「え!」

可憐はびっくりし、その場で飛び上がった。

「つ、つながってる…」

思わず、携帯をどこかに投げようとしたが、

それは、さすがに手が止めた。

できるだけ、遠くに腕を伸ばし、携帯を遠ざける。

腕が、震えていた。

「どーしょお!」