「Episode1」







【栞菜side】


誰もいない物音一つない部屋。





私の家には私以外の人間がいない。
そんな中で私はひとり朝食をとっていた。

若名 栞菜(わかな かんな)
自分の容姿に興味ない。
モデルのスカウトなんてどうだっていい。



両親は離婚していて、母子家庭。
母は、離婚してすぐに海外へ転勤していった。
もう長い間会っていない。
まあ、会いたいとも思わないが。



私は食べ終わったお皿を片付けて、カーテンを開けた。

「まぶしっ……」




窓から差し込む光に私は目を細める。
この光は何度浴びても慣れない。
私はカーテンを束ねると、自分の部屋へ向かう。







「……ふぅ。準備はいいかな」

私は制服に着替えて学校へ登校しようとするが

「やっぱり、嫌だ……」




私は人間が嫌いで、近づきたくない。
そうなったのは今通っている、『あおば高校』が原因だ。


正確には、そこに通うある人たちが原因だけど。


「……悩んでても、仕方ないかな」






私は、無理やり足を動かして、家を出た。

「おはよっ!」
「あっ、おはよ~」


周りは朝からにぎやかだ。
でも、私は友達なんて作らないから朝から下校まで、ほとんどしゃべったことはない。





私は昇降口を過ぎてげた箱を開けた。

「……上靴、ない」



私は、まぁいつものことだからと気にせずにスリッパを借りに行った。






「若名さん、またですか……」
あからさまに嫌そうな顔をする担任。


「すみません」

私は一言謝ってリストに名前を書いた。




「じゃぁ、失礼しました」
「ちょっと待ちなさい」

私は先生に呼び止められた。


「はい?」
「何故そんなに忘れるの?」


なんでって言われても、忘れてるわけじゃないし……。

「すみません、上靴をなくしてしまたので、探しています」

先生は、顔をしかめて、

「まぁ、それなら仕方ないわね。早く見つかるといいのだけど」
「では、失礼します」


何とか先生から逃れることができた私は、教室へ向かった。
----ガラッ
――――――――ボトッ


私の頭の上に黒板消しが落ちてきた。



「ゴホッ……コホッコホッ……」
「あ、ごめんね~。まさか若名さんだとは思わなくって~」



教室からは、たくさんの笑い声。



そう。


私は、このクラス全員から、





イジメられてるんだ……

私は無視をして、自分の席についた。


一番後ろの窓側の席で、先生の目につきにくい。



だから、そこでいじめられていても気づかれない。




それをいいことに、クラス全員からいじめられるようになった。



でも、理由はそれだけじゃない。

よりにもよって隣がこいつだからだ。
















宮野 瞬(みやの しゅん)







学校一のイケメンと言われてる人。