【栞菜side】
誰もいない物音一つない部屋。
私の家には私以外の人間がいない。
そんな中で私はひとり朝食をとっていた。
若名 栞菜(わかな かんな)
自分の容姿に興味ない。
モデルのスカウトなんてどうだっていい。
両親は離婚していて、母子家庭。
母は、離婚してすぐに海外へ転勤していった。
もう長い間会っていない。
まあ、会いたいとも思わないが。
私は食べ終わったお皿を片付けて、カーテンを開けた。
「まぶしっ……」
窓から差し込む光に私は目を細める。
この光は何度浴びても慣れない。
私はカーテンを束ねると、自分の部屋へ向かう。
「……ふぅ。準備はいいかな」
私は制服に着替えて学校へ登校しようとするが
「やっぱり、嫌だ……」
私は人間が嫌いで、近づきたくない。
そうなったのは今通っている、『あおば高校』が原因だ。
正確には、そこに通うある人たちが原因だけど。
「……悩んでても、仕方ないかな」
私は、無理やり足を動かして、家を出た。
「おはよっ!」
「あっ、おはよ~」
周りは朝からにぎやかだ。
でも、私は友達なんて作らないから朝から下校まで、ほとんどしゃべったことはない。
私は昇降口を過ぎてげた箱を開けた。
「……上靴、ない」
私は、まぁいつものことだからと気にせずにスリッパを借りに行った。
「若名さん、またですか……」
あからさまに嫌そうな顔をする担任。
「すみません」
私は一言謝ってリストに名前を書いた。
「じゃぁ、失礼しました」
「ちょっと待ちなさい」
私は先生に呼び止められた。
「はい?」
「何故そんなに忘れるの?」
なんでって言われても、忘れてるわけじゃないし……。
「すみません、上靴をなくしてしまたので、探しています」
先生は、顔をしかめて、
「まぁ、それなら仕方ないわね。早く見つかるといいのだけど」
「では、失礼します」
何とか先生から逃れることができた私は、教室へ向かった。
----ガラッ
――――――――ボトッ
私の頭の上に黒板消しが落ちてきた。
「ゴホッ……コホッコホッ……」
「あ、ごめんね~。まさか若名さんだとは思わなくって~」
教室からは、たくさんの笑い声。
そう。
私は、このクラス全員から、
イジメられてるんだ……
私は無視をして、自分の席についた。
一番後ろの窓側の席で、先生の目につきにくい。
だから、そこでいじめられていても気づかれない。
それをいいことに、クラス全員からいじめられるようになった。
でも、理由はそれだけじゃない。
よりにもよって隣がこいつだからだ。
宮野 瞬(みやの しゅん)
学校一のイケメンと言われてる人。