あの日の下駄箱と全く同じ状態だ。 あの時私は夏目くんとキスをしたんだ……。 私じゃなく凛ちゃんと勘違いしてだったけど。 そっと自分の唇に触れる。 それだけなのに、一瞬にしてあの時の事を思い出してカァっと顔が熱くなった。 「夏目くん……」 こんなにも近くにいるのに、私と夏目くんには測りきれないような距離がある。 それはとても近づける距離じゃなくて、開く一方の距離。