少しずつ慣れてきた視界の先に、フェンスに寄りかかって座っている彼の姿が目に入った。 「夏目くん……」 だけど、夏目くんは私には気付かない。 それも当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。 「寝てるの……?」 ヒラヒラと顔の前でで振ってみても、起きる気配は全くなかった。 「あの時と同じだ……」