「こんなの、俺知らないし」


抱き締める力が更に強まる。


鼻をかすめる夏目くんの匂い。


レモンのような、ちょっとさっぱりしたような匂い。


「夏目くん……」


「何?」


「夏目くん、夏目くんッ……」


気付いてたら、何度も名前を呼んで、背中いっぱいに手を伸ばして抱き着いてた。