驚く間もなく、すっぽりと夏目くんの腕の中におさまった。


「夏目くん……?」


やっと出た声は震えてて、今にも消えてしまいそうな声だった。


夏目くん、どうして抱き締めるの?


また凛ちゃんと間違えてるの?


ねぇ……夏目くん。


「アイツと付き合ってんの?」


「え?」


やっと聞こえた夏目くんの言葉は私の知りたかった答えとは全く違うものだった。


夏目くんのいうアイツというのも誰なのか、分からない。