心なしか、手が震えている気がする。 あと数センチ……。 あと、もう少し……。 「何、してんの?」 あとほんの少しで触れそうなところで、夏目くんの声が風を通じて私の耳に届いた。 「ッっ」 あと少しで触れそうだった自分の手が、行き場を探すかのようにそのまま固まる。