私の名前は桐谷 愛。
愛を知らない私にぴったりな...大嫌いな名前だ。
だから、この名前で生まれてきたことは私の人生最大の汚点だろう。
私の母親は、かつて女優だった。
昔は、そこそこ売れていたらしい。
17のときに私を妊娠して、芸能界を引退。
それから、ずっと母子家庭。でも、ママは私に愛情を注いではくれなかった。
私を産んでからのママの人生は悲惨だ。
ママはお金のためなら、なんでもするような女だ。
毎日毎日、違う男を部屋へつれてきて…ばかばかしい。
私はあの女とは、違う。
絶対、汚れたりなんかしない。
そう思って、生きてきた。
でも、もうママはこの世にいない。
半年前に突然死んでしまった。
それから、私はひとりで暮らしてきた。
ママは、私に一握りの愛さえ、くれなかった。
愛なんて私には必要ない。
今まで、ひとりで生きてきた。
これからも、私はひとりで生きていく。
恋愛なんかしない。くだらない。どうせ、偽りの愛だから…。