「乗んねーの?」

「きゃっ………!」

また宙に浮く身体。

バイクの上に下ろされた。


「家どこ?」

バイクに乗りながら言う梓馬。

私に拒否権は無いらしい。

「………駅前の住宅街のとこ。」

「おう、捕まっとけよ。」


平然と言われたけど、どこに捕まればいいのか分からない。


首を傾げる私を見て、梓馬が呆れたように私の腕を掴んだ。

そして、


「へ………?」

梓馬の腰に巻き付けられた。


「………バイク乗んの初めて?」

「……うん。」

私の周りにバイクを乗る人なんて居なかったし。

勿論、私はバイクの免許を持っていないし……。


「じゃあ、安全運転で行くけど、落ちないようにしろよ?」

「うん。」


梓馬は本当に安全運転で私を送ってくれた。