「柚希…………。」

どこか切なそうに、梓馬が呟く。

「Alfaの姫が柚希だってことは既にバレてる。……柚希は、俺ら幹部と同じ、いやそれ以上に狙われやすい立場だ。」

狙われやすい立場………


「………それなら、それを利用すれば良い。私をターゲットにさせれば、梓馬達は自由に動ける。」

私を狙いたいなら、狙えば良い。

それが、Alfaのためになるのなら………



「ばか。」

しばらくの沈黙の後、梓馬が笑いながら言った。

「は………?」

何で私がばか呼ばわりされなきゃいけないの!?

「ばかだろ。……もっと自分を大事にしろ。」

黒い瞳が真っ直ぐに私を捉える。