窓から流れる景色を眺める。

緑の多い学校周辺、人通りが多いビル街………

と、いつもとなんら変わらない景色。


その中にあの公園もあった。


通り過ぎたとき、

「あ、」

梓馬の姿が見えた気がした。


「う、運転手さん。車停めて下さい!」

「へ……?」

運転手は不思議そうな顔をしながらも、私の言った通りに車を停めた。


「すみません!先に帰ってて下さい!」

「え!?………お嬢様!?!?」

車から降りて全速力で走る私に、運転手の声は届かなかった。