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『……知奈、いつまでも反抗期だなんて言ってないで店手伝えよ』
『ったく、勝手に部屋に侵入して来んなって言ってんだろ』
─────久しぶりに、夢をみた。
今はどこかへ行ってしまった、大切な家族、拓ちゃんの夢。
『……お兄ちゃんって呼ばせたいんだよ、俺は』
『やーだ、拓ちゃんは拓ちゃん』
いつだって、優しくて
『……知奈、お父さんとお母さん、それからおじいちゃんと仲良くな』
『ねえ、拓ちゃん、その言い方だとどこかへ行っちゃうみたいだよ』
『大丈夫、また連絡するから』
でも、どこか儚かった拓ちゃん。
ーー夢が醒めなければいいのに
もし、この夢が永遠だったら、ずっとずっと拓ちゃんと一緒にいられるし
拓ちゃんがいなくなった事実に涙することもないだろう。
「─────」
だけど、良い夢の時ほどはやく醒めてしまうもので
今日もまた、朝が来た。