「え?は?もらうって」
「だって、いらないんだろ。
こんな可愛げのない女いらないって言ったのはあんた自身だ」
さっきまでの神妙な顔も
寒気がするくらい丁寧な言葉遣いも
全部、全部捨てて戦ってくれる人が今隣にいる。
「───」
一気に顔色が悪くなっていく悠。
瀬戸内くんは、もう容赦しない。
「異論はないよな、浮気したり散々好きかってやってきたのはあんたの方なんだから。
知奈が誰のところへ行こうと、あんたが咎められるわけない」
一瞬の隙につけこむかのように
彼は声を荒げることもなく、静かに
でも容赦なく悠の精神をむしばんでいく。
「知奈もなんか言ってやれば」
「……わかった」
わたしは深く深呼吸をした。