「チッ」
少しの間、ぼんやりしていると、近くで舌打ちの音が聞こえた。
「さすがに今のは効いたかな」
「……え?なにが」
この状態についていけないわたしと
「いいよ、あんたは俺に合わせておいてくれさえすれば」
すっごく楽しそうな瀬戸内くんと
「知奈……偶然」
さゆちゃんと腕を組みながら、得意げな顔をしている、悠。
こ、これは……修羅場!??
能天気人間のわたしには、この空間がとても息苦しかった。
ーー
「で、知奈はこんなとこで男連れて何やってんの」
「……それ、んー」
それは、こっちの台詞だ、と啖呵切ってやろうと思ったけど
口元を瀬戸内くんに押さえつけられて、話せない。
「僕が言ったことなんで、水瀬さんを責めないでください」
神妙な顔をして、頭を下げる瀬戸内くん。
……だれ、ですか?