何すか、本当。


さっきまでは、まるで純粋な子供のような目をしていたのに

今の目は、もう一瞬で冷えきって、ひどく霞んでいる。



「おい……いいから行くよ」


断るはずだったのに、

断るべきだったのに、


だんだんと青ざめていく彼を見ながらそんなこと言えなかった。



「瀬戸内くん、大丈夫?」

「……あ、うん」



学校でのケバ子’sへの対応。

触れた瞬間、ビクッとして、一歩後ずさりする行動。


……もしかして。



「女嫌いだったり、する?」


「ーーああ」



やっぱり。どこかそんな気がした。


しばらく続く沈黙。



でもその沈黙を破ったのは意外にも彼の方だった。



「触られるのが無理」

「……うん」


自分のことを話してくれるのは初めてだったから驚いたけど


「香水くさい女が無理」

「……うん」



「自分に擦り寄ってくる女が無理」

「……そっか」



少しだけ心を開いてくれたのかと感じて素直に嬉しかった。