わからない、わからない。
わたしは何のことなのかさっぱりわからない。
彼の考えていることも、彼自身のことも。
「ちょっと外出るよ」
「……は、出るよじゃないよ。
なに、どこに行くの」
休日の10時、絶好のお出かけ日和。
そしてわたしは人生最大のイケてる格好を身にまといながら
彼氏ではない、男と二人っきりで出かけている。
……大問題だ。
「……やっぱりわたし、帰る。
こういうのでこれ以上悠とこじれても困るから」
今となっては、もうヤキモチを妬いて怒るかわかんないけど
これ以上亀裂が入らないようにできるだけのことはしていたいから。
「……じゃ、帰る……」
「────」
でも、帰ろうとしたところで
彼が右手を掴み、帰らせてくれなかった。
「───触んな」
ん?声を出したのはわたしではない。
彼の方だ。
「いやいやいやいや」
何が触るなだよ。
触ってきたの、そっちだし。
わたし触られただけだし、そんな怖い顔されてもどうすることもできないよ。