「……っ」
わたしは走って廊下にいたゆっちゃんとナミのもとへ向かった。
「知奈どうしたの?」
「……っ」
二人の顔を見た途端、視界がぼやけた。
「……もう、嫌になっちゃって」
「うん」
「好きだけど……それ以上に辛くなっちゃって」
「うん」
二人は黙ったまま、ぎゅっとわたしの体を包み込んでくれた。
「知奈」
と、教室から大きな声で叫ばれて
ピクリと身震いがする。
おそるおそる振り向くと、そこにはゆっくりとこちらに歩いてくる悠の姿が見えた。
「知奈」
「……」
キミのその声、その足音、その姿は、
「さっき妬いただろ、俺とさゆが仲良くしてて」
「……」
出会ったころとまるで違っていた。
「可愛かったよ」
「────」
キミは変わったね、悠
わたしは何をしていたんだろう
彼を思った時間
彼のために泣いた時間
彼のために悩んだ時間
何を見てきたのだろう。
ーー人は変わる
ーー永遠なんて、存在しない
そんな簡単なこと
わかりきっていたはずなのに。