だけど、そのくせ、知奈の隣に知らない男がいると、平然を装いつつも、焦って焦って仕方なかったこととか。
そういや、あいつの作る飯だけは上手かったなとか。
また、泣いてんのかな、とか。
とにかく、あいつのことばっか、考えてしまって、何をするのにも身が入らなかった。
悔しかった、正直、とても悔しかった。
自分のなかで彼女の存在がこんなにも大きくなっていたとは思ってもいなかったから。
「……ははっ」
ったく、敵わないな、本当。
こいつには、いつだって、敵わないよ。
「……好きだよ」
もう、誤魔化さない。