当時、大学生だった、美菜。
生意気な中学生を相手に、それはもう毎週毎週手を焼いていたと思う。
とにかく勉強嫌いだし、人から教わるとかもっと嫌いだし
マジ部屋入ってくんなって感じで暴言ばかり吐いて、さぼったりもして、散々だった。
「……馬鹿ね、ほらやるわよ」
だけど、どんな酷い態度をとったって、傷つくような言葉を並べたって、こいつは辞めたりなんてしなかった。
それどころか母親には相手にしてもらえなくて、学校の先生には態度が悪すぎて呆れられてる俺を決して見捨てたりはしなかったんだ。
あったかかった。人って、こんなにあったかいんだって感じた。
無性にも、そう思ってしまった。