ドクンドクンと、心臓の音が聞こえる。
「だけど、ひとつだけ」
「…………え？」
「置いてく方も、同じくらい傷ついてるってことをわかってやって」
……頷く、しかなかった。
だって……瀬戸内くんがあまりにも切なそうに、笑うから。
「───せ、瀬戸内くんはなんか、あったの？」
「……ん？」
いつも、瀬戸内くんがそのような笑顔を見せるたび、少しだけ気になってた。
「───時々、笑ってるのに泣いてるときがあるから」
「……」
今までは、聞かれたくないこともあるからと、そっとしてたけど───ごめんね。
……あなたのこと、好きになっちゃったから、知りたいの。
何か悩んでるなら、話を聞きたいの。
苦しんでるなら、その苦しみを分けて欲しいって思うの。
───ごめんね、好きだから、誰よりも近くにいたい
