「───拓ちゃんは弱虫だ」


お父さんのわかりにくい優しさにも

お母さんの隠れた期待も

全部、全部見て見ぬフリをして

『リセット』するなんて酷い。


わたしたちが拓ちゃんを待っていた日々も全て消えてしまうの?



そんな───涙の訴えだった。



しかしわたしたちの間には途方もない時間が過ぎていた。



「お前に俺の気持ちはわからない。

何もかも好き勝手にやってたお前にはわかってたまるか」


ほんのり赤みを帯びた頬に手を当て、彼はひどく低い声を出した。


嗚呼、そうか。


ーーわたしたちの間には、四年というブランクが存在する


その間にも、時間は、無様にも人を変えていたんだね。





「今すぐ帰れ、そしてもう二度とここには来るな」




優しかったキミは、もう、いなかった。





時間は人を残虐に、する。