『大人になったらむかえにいくから』 『……うん』 昔の記憶の片隅で あどけない笑顔の少年は じわり、と涙を浮かべていた。 ────生きるうえで、記憶は次々と塗り替えられていく。 いらない記憶には蓋をして、必要な記憶だけは残しておく。 わたしは、その日の出来事を、そっと『いらない記憶』へと運んだ。 ……消えた、記憶。 何か物足りない毎日に 転機が訪れるのは、もう少しだけ────先