するとこれまで黙って私をみつめていた凌也が

「わりぃ。この前つれてきたとき
　痣やら傷やらがみえた」

そうだったんだ

「けど言いたくないなら言わなくていい。
　
　ただつらいときは、つらいって言けばい　い
　弱いところをみせたくないなら
　泣いてるのをみられたくないなら
　かくしてやるから」



なんでそんなこというの？

まさに弱いところをみせたくないし

泣きたくもないのに

そんなこと言うから我慢できなくなるんじゃんか

私は涙がこぼれるのを我慢した

必死でこらえていたのに

「お前はそんなに強くなくていいんだ」

ドキッ

そう言って微笑むから

はじめて笑いかけてくれたから


「…フッ、さっそくかよ」

我慢できなくなってしまったじゃないか

何度も何度もこぼれる涙を

凌也はぬぐってくれた…