「な~にをしてるんですかッ。」



その声は思った通り梶山くんで。


ひんやりとした手は余計に体温が下がりそう。


一つだけほっとしたことは


梶山くんの声が怒っていなかったこと。


梶山くんに怒られたらかなりショック受けちゃうもん。




「俺も隣座りますね。」


「うん。」




紫がかった空は雲を引っ張る。


空ではかなりの強風が吹いているのか、


10秒単位で雲は移動している。



私たちはそれをぼーっと見続ける。


こういう時間が案外好きだったりする。


梶山くんは性格がマイペースだから


本当に様になってる。



…その姿が可愛くてにやにやしてしまったのは


言わないでおこうっと。



「先輩。」


「ん~」


「眠いです」


「寝ますか?」


「寝ます」


「楽器を片付けなさい」


「先輩もですよ」


「面倒だぁ~」


このゆるゆるな空気が甘くて


大好きだったりする。