あちこちで私の名前が聞こえる。



私は基本一人で練習してるから




誰も気にしないと思ったんだけど。




本当は梶山くんに見つけてほしいな…




なんて。




パートリーダーの花がいるから



私の所になんて行かせないだろうけど。




群青色のジャージに目を落とすと




白くなっている。




壁に寄りかかっていたせいで粉がついてしまった。





いつもの癖で立ち上がって払い落とす。





「あっやばっ」






思わず廊下側を見るとそこには






「…」






ぽかんと口を開けた梶山くんが。





マウスピースを洗うときに通りかかったんだ。




なんとタイミングの悪いことだ…





いや、いいのか?




よくないんだけど。




すっという効果音と共にその場にしゃがむ。




10秒程して、戸がガラッと音を立てて開いた。



そして閉まる。




その瞬間





「んっきゃあ!!」






恐ろしく冷たい手で




首根っこを掴まれました。