「別れちゃったのかー。まぁ良い奴はいっぱいいるから大丈夫だ。」
優人とは半月前に別れた。付き合った期間はそんなに長くなかった。私から別れを切り出した。
実は私はずっと前から奏汰のことを好きなのだ。
そんな状態で付き合ってるのは申し訳ない気持ちになって別れた。
「うん。ありがと。」
私達はすこし沈んだ空気のまま学校に着いた。
下駄箱で靴を履き替える。
私達は隣のクラスだから下駄箱が近くにある。
「あ。」
おもむろに奏汰が呟く。
何か忘れ物でもしたのかと思って奏汰を見ると奏汰は何かを見てた。
奏汰の目線の先を見るとさっき2人で話していた優人が登校してきていた。
「あ。」
私も奏汰のように声がでてしまった。
私と優人は別れて半月も経っているのに未だに気まずくて目も合わせられない。
「…おはよう。」
半月前まで誰よりも多く聞いていた声が私に向かってまた飛んできた。
「お…おはよ。」
私も返す。私が下を向いているから優人がどんな表情をしているか分からない。
「俺、まだ諦めてないから。できれば、また萌衣と付きあいたい。」
それだけ言って優人は急いで靴を履き替えて教室まで歩いて行った。