味はとても美味しかった。
果穂さんとも直ぐに別れて、また歩き出す。
まだ一ノ宮先輩と合流してから三十分も経ってないのに。
疲れた気がするのは何でだろう……。
そういえば……。
「先輩、なんで今日はここに?」
初めてのデートでここに来たときは、ずっとボーッとしててつまらなそうに見えたけど……。
「……見せたいものがあって。」
「見せたいもの?」
首を傾げた。
「本当は、柚子に一番に見て欲しかったんだけど……。」
「?」
広い美術館をグルグルと回って、とある角を右へと曲がる。
「でもまぁ、仕方ないかな、それは。」