四月から十月。
それから十一月から三月……。
色々なことがあったけれど、やっと手に入れた。
“私”であっていい、私の“居場所”を。
「いいなあー、カップル。一ノ宮なんか受験に落ちてしまえ。」
「もう受かりました。」
「……ていうか。かっちゃん、なんでここにいるの?」
気づけば私達の隣を、どよーんとしたかっちゃんが歩いていた。
確かつい最近、彼女と別れたんだっけ。
「一ノ宮から、美術館入場のタダ券貰ったから見に行くんだよ。教え子から貰ったんだ、行かねえわけにはいかないだろ。」
美術館……?
美術館って、もしかして……。