「……?…ぃ…?…ぉ…い!おい!!棗!!」
「あ、ごめん。」
「お前どうしたんだよ?今日なんか変だぞ?」
「いや、なんでもねえよ。で、なんだっけ?」
「だから朱梨がな?棗にも会いたいから今度予定合わせてって言ってたから、ちゃんと合わせてってやってくれよ」
「はいはい。」

こいつは唯一友達と呼べる戦友でもある矢田來翔(やだらいと)。さっきから会話に出てくる奴が、桜木朱梨(さくらぎあかり)。來翔の彼女。
來翔は家系が殺し屋で、将来來翔も殺し屋に進むつもりらしい。
親が、殺し屋になったら自由には出来ないからということで來翔のことを好き勝手やらせている。
その割來翔は道を外さず歩んでいると思う。舎弟や部下がいる時点で普通の高校生ではないが。


「お話中失礼します!」
「話してる時は入ってくんなっていっつもいっつも言ってんだろうが!!」
「すいません!!でも朱梨さんがお見えです!」
「え、まじで!!通して通して!!」

こいつの態度の変わり方はいつ見ても笑える。

「あー!棗がいる!!もうどこ行ってたの!?」

朱梨が棗に抱きつこうとしたところで、來翔が飛んできた。

「だめだめだめだめ!!!!朱梨は俺のだから触んな!!!」
「朱梨から来たんだろ?笑 俺なにもしてねえじゃん。」
「來翔ウザい!!過保護!!!」
「お前ら…変わんねえな笑」


バターン!!
「なんの音だ!?」

來翔が叫ぶと部下の1人が飛んできた。

「佐久間が…!黒雲組にヤられました…!朱梨さんを…!早く安全な場所へ…!」

佐久間って奴も恐らく來翔の部下の1人だろう。

「…っ!朱梨!!奥の部屋行ってろ…!」
「…わかった…!気をつけて……!」
「棗…!巻き込んで悪いな。手伝ってくれるよな…?」

いつものことだ。棗もそのつもりだった。

「当たり前だろ?死なない程度にしとけよ。」

------------------


「…はぁ…はぁはぁ…。棗…ありがとよ…お前がいなかったら今回はヤバかったかもしれねぇ……」
「…っ…なに言ってんだよ…笑
こんなん余裕だろ…?笑」
「來翔、棗…。大丈夫…?」


(こんなに楽しい時がいつまでも続くといいな…。)

棗の意識はここで途切れた。