ガラガラガラ
「お、城崎。よくなったのか?」
「はい。もう大丈夫です。」


「えーじゃあ125ページの3行めから続きやりまーす。えー佐野。読んで。」


やることはない。ただ、あの倉庫にいるよりはマシな気がした。
でも、話しかけてくるような奴もいない。寧ろそのほうがよかった。

キーンコーンカーンコーン
「えーじゃあ今日はここまでにする。明日の授業までに127ページをやってくること。以上。」

「疲れたあ!」「ねえ!お昼食べ行こ!」


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「ではまた明日。さようなら。気をつけて帰れよ。」

「ねえ!帰り駅前のクレープ屋さん行かない?」「ねえカラオケ行こぉよお」

名前も知らないクラスメイト達が帰りにどこかへ寄ろうとワクワクしている中、棗は颯爽と駅へと向かった。


「あ!あの!これ落としませんでした?」

あ、可愛い。

「??あの…?」
「あ、すいません。ありがとうございます。」
「いいえ。どういたしまして!」
「ほらぁ!りくぅ!いこーよ!!」
「あ、まってよー」

これがあいつとの、りくとの出会いだった。