「おはよー!」「おはよう!」
「ねえ昨日のドラマみた!?めっちゃキュンきゅんしたあ!」


嫌な一日が始まる。今日も憂鬱だ。世界なんかなくなっちゃえばいいのに。

俺の名前。棗。城崎棗。
なかなか抜け出せないでいる。この生活から。
やっと1日が終わったと思ったのに、また同じ日が来る。

ヴーヴー
【今から出てこい。いつものところにいる。】

またか。さっきまでいたのに。

ガタッ
「城崎。どこ行くんだ。」
「体調悪いんで、保健室行きます」

隠してあるバイクに乗り、いつもの海へ向かう。
「おー棗え…遅かったなあ」
「龍さん…またっすか…」
「お前龍さんに向かってなんて口の聞き方してんだあ…失礼だろお…」
「橘さんも舌回ってないっすよ。そろそろやめてください。いい加減俺も捕まります。」

ここは海の横にあるでっかい倉庫だ。
でかい割に街の外れの海の目立たない場所にあり、誰も寄り付かず警察にも目を付けられない穴場だ。

ここに集まるのは薬やらに手を染めた言わば犯罪者たちだ。

「なんも用ないなら帰りますよ?てかまだ学校なんで」
「棗え…学校なんて行く意味ねえんだよ…」
「はいはい。分かりました。じゃあ俺帰りますんで。今日はもうここ来ないんで呼び出さないでくださいね。」


疲れる。捕まろうがなにしようが別にどうでもいいけど、俺にはここしかなかった。




そう。あいつに会うまでは。