10分

＊Tue


『おはよ。』
「！！！」


朝、家のドアを開けて間もなく

突然後ろから
昨日の美少女に声をかけられた。


『あーすみません。びっくりさせちゃったかな？』
「いえ。大丈夫です。」


内心かなりびっくりした。


『昨日はありがとうございました。』
「いえ。」

『私、昨日転校してきたばかりで全然道がわからなくて………』
「はぁ。」

『携帯の電源が切れたときは本当焦ったよー！』
「そーなんですか」

『学校初日なのに遅刻しそうでどーしよっかなってー！』
「はぁ。」

『そこにタイミングよくあなたが現れて………』
「へぇ。」

『本当によかったよー！ありがとう！』
「いえ。」


なんだこの子………
敬語で話しかけてきたと思ったら、急にタメ口でベラベラと………


『あ、ごめんなさい。急にベラベラと言い過ぎましたよね。よく友達とか親にうるさいって怒られるんですよ～。』
「そーなんですか。」

『しかも、途中からタメ口で話しちゃいましたね！あなたが先輩だったらごめんなさい！』
「いえ………お構い無く。」

『何年生ですか？』
「2年生です。」

『本当！？』
「っ！！」

『私も2年生なのー！なんだぁ敬語使わなくてもよかったんだぁー！』
「そーですね。」


本当になんなんだこの子は………。
女子高生ってこんなにうるさかったっけ？

しかも俺の思っていること言い当てたし。

なんでこんな話しかけてくるんだろ。
かわいいけどうるさい子だな。


一刻も早く学校に着きたい。
早くこの よくわからない子から離れたい。


スタスタスタ
「………………」
パタパタパタパタ
『………………？ 』

『ねぇ。』
「っ！！………はい？」

『あなた歩くのとても早いんだね！』
「そう、ですか？」

『うん！だってもう学校着いたもん！』
「あ。」


はぁ～………………
やっと学校着いた～。


『じゃあまたね！』
「はい。」


朝の登校の10分がこんなに長いと感じたのは初めてだ。
なんかかなり疲れた。






………………？




あの子《またね》って言った？
また俺に会うつもりなの？


絶対嫌だ。
朝からあんなにうるさいのは
まじで勘弁してくれ………………。