何もないと思っていた黒い壁に光の線が入り、ゆっくり開いていく。
仄光の部屋に差し込んでくる眩い光に目が眩む。
その光は瞬く間に部屋中を包み込むと、一瞬にして退いていった。
まだ痛む目を抑えながら目を開く。
そこに広がっていた光景に言葉を失った。
私だけではない、他の候補者も様々なリアクションをしているが言葉が出てこないのは同じのようだ。
室内は温室のように色とりどりの草花が密集していて、華やかだった。
見たこともない不思議な植物、私たちの何倍もある巨大な花。
どこからか聞こえてくる鳥の囀(さえ)ずりに
顔をあげると一瞬の眩しさに目を閉じる。
高い天井は硝子張りで露草色の空が見える。
先程の強い光は太陽の光だったようだ。
一週間ぶりに日光を浴びた体は光に怯えているようにも感じた。
猫が言っていた事は本当らしい。
ゲームの時だけ朝と昼が顔を出す…。
常に夜のようだったあの館では考えられないくらい明るいこの部屋は、ゲーム会場として相応しくないと思うのはなぜだろう?